hogloidのブログ

へなちょこ

ICL手術を受け、25歳で老眼鏡を使うことにした話

ICLの手術を受けた。軽くここに経過をまとめてみようと思う。
ICLとはこういうやつで、目の中にレンズを入れる手術です
ICLとは|ICL研究会

以下の内容は特に医学的知識のある人によって書かれたものではなく、素人の体験と主観により書かれています。

tl;dr

  • 術後の安静期間やレンズへの慣れを考えると、メガネないしコンタクトに満足している人にはおすすめしません
  • 可逆性が売りでレンズは取り外せるけれど、もう一度手術は必要なのでそこまで気軽ではなく、矯正後の見え方をよく確認しておいたほうがいいと思います。それができなそうなら辞めたほうがいいと思います
  • パソコンのオタクは強めに作るとしんどいかも
  • 受けたいと思っているなら早めにやったほうがお得です(特にコンタクトの場合時間的・金銭的コストは早めに回収できそう)

ICLについて質問とかあれば体験した範囲で答えられます。

以降は時系列順の体験談の駄文です。

なぜ受けようと思ったか

小学3年生の頃から近視の傾向が見られ、以降ずっとメガネを掛けて生きてきた(25歳).
なのでメガネは慣れっこではあったのだが、一方で気に食わない点もあり、例えば

  • マリンスポーツやウィンタースポーツ、ジェットコースターやVRなどの時に掛けれないまたはゴーグルと干渉する
  • たまに太陽がメガネに反射してつらい
  • 運動時に動いてつらい
  • 視界の端が見えない&眼鏡の内側でも周縁部は若干ゆがみがある(まあ歪み含めて慣れてはいるが)
  • 朝起きてすぐ夢日記書きたいときの時間的ロスがきになる

必要なときにはコンタクトを付けることはできたのだが、これは出し入れに手間がかかったし、外すのが苦手だったし、たまに外れることがありこれもまた気に食わなかった(あと毎日使うには高い)。

そこで、視力を根本的に良くする手段には前々から興味があり、レーシックのことも調べたことはあったが、角膜を削ってしまうというのが不可逆な感じがして見送っていた。しかし、会社でICLという目の中にレンズを埋め込む治療もあることを知り、2,3日調べた後申し込んでみた。(ちなみに、ICL経験していた人が割と信用のおける、人格的にしっかりした人だったので割とすぐ決めたが、これが自分みたいなあまり危険を顧みない人だったらすぐに決めてなかっただろうし、見向きもしなかった可能性もある)

手術まで

病院はいくつか調べてみたが、結局同僚と同じところにした。自由診療の範疇なので、半分ぐらいの病医院は相場とされる辺りの値段に固まってはいるものの、高い側のテールは結構長そうで倍ぐらいの値段取ってそうなところもあった。GoogleMAPの口コミも見てみたが、正直あまりあてになる感じはしなかった。眼科自由診療系といえど単一の手術だけしているところはなく別の治療の患者のコメントが多いのと(まあそれでも参考にはなるが)、待ち時間やらスタッフの態度とか術と関係ない部分の評価が多かったので。結局、知り合いの生の声の方が頼りになるなと思ったのと、執刀数日本No1とかでスキル的にも問題なさそうなことや値段も標準的だったので同じところにした。

年末に申し込み、一度視力や目の各種調査を受け、適性が認められると手術の予約に入る。視力はそこまで良くしなくていいですとは言ったが、今と同じぐらいだからと言われ両目矯正後1.5にしてもらうことに。そんなに今の視力よくなかったと思うが:thinking_face: (この違和感を大切にしていれば…)
モニター(術のデータを学術利用することを許可すること)になって手術データを学術利用することを許可したところ1割ぐらい引かれた、ラッキー。

術は1ヶ月と少し後の2月初め。術の1週間前に目の異常がないかの検査も入る。小さいものもらいができており、治療用の目薬と軟膏をもらった。術までには無事治っていたらしい。

手術当日

12:30に手術と書いてあったからその時間に余裕を持って12時ごろにつくよう出発したら来院時間は11時で移動中に電話がかかってきた。普通に診察券の方には来院時間のみが書いてあった…なぜ承諾証の手術時間の方を見てしまったのか。それでもキャンセルはされなかった。たぶん順番は前後しただろうが。

病院に到着。眼圧や視力などの確認。終わると瞳孔を開く薬を手術までこまめに指してもらう(およそ1時間半)。瞳孔が開いてくるとピントが合いづらくなるし視界全体が眩しくなるのでぼーっとする。術が迫ってくると、瞳孔を開く薬に加えて麻酔や抗菌の点眼。ついに手術室に入り、始まるのかな〜と思いきやまだ点眼しつつおあずけ(およそ30分ぐらい?)。手術室は青白い照明で、真ん中に患者の乗る台があり、隣には人の背丈ほどの大きさのロボットアーム付きのすごそうな機械がある15-20畳ぐらいの空間だった。換気か殺菌のためか空調が相当きいており、同じ服装で暖房の効いた部屋から移ると肌寒い。首から下は毛布みたいなの掛けてくれるので激寒ではなかったが。

目の麻酔が効いてくると、まぶたの内側がじんわりとしびれた感じが出てくる。目は基本閉じているので特にやることはないが、飛蚊症のチリを追いかけていたら目が動いてしまってよくないなと思ったが目を閉じていても見えてしまうものは見えてしまうのでどうしようもなかった(空想に浸って意識をそらした)。

まずは右目から。顔全体を消毒された後、目だけ空いた布状のフェイスガードを付ける。次に上下のまぶたをテープのようなもので固定する。以降目は閉じることはない。まずは10滴/secぐらいの量で紫色の液体を目にたらされながら角膜を洗っていく。結構いきなり始まったのでびっくりし、急に心拍数が上がってくる。角膜に直接触れてはいるのだが、なんかちょっと押されてるな、って感じであまり触られてる感じはない。次にかなり強いライトが照らされ、ライトのうち右の1つを見ていてください、と言われるが、視界が本当に真っ白になっておりどれが右のライトかまったく分からない。その旨伝えるとなんか点眼され、あと網膜が慣れてきたのもあり3つの光源が認識できるようになる。ずっと見ているとライトの部分に残像が残るようになり、目を動かさない限りはそのままなのでずれると自分でそれを認識できる。

で、ライトの方向を向いた辺りから術が始まる。メインの先生が「はじめます」以下5, 6名「よろしくお願いします」(掛け声は厳密は違ったかも)と言って執刀がスタート。本当にこんなシーンあるんだって思った。まあでもなにかに取り掛かるための儀式って大切なのかなと思った。手術自体は眩しすぎて何やってるのかは全然分からないのだが、10秒に1回ぐらいシュワシュワした液体を点眼されながら、角膜をのおそらく片側を切開され、次に10秒ごとに何かをカウントしながら60秒までまた似たようなことをし、最後に少し染みますよと言われメスのようなもので何かを切っているような感じの後、何かを押してるのかもしくはくっつけてるような感じ。実際には染みますよと言われる直前から鈍い痛みがあったので、早く言ってくれよと思ったが、先生的にはそこは傷まない認識だったのかもしれない。ただまあ痛いなと思ったのはこの後半の部分で、痛みの度合いとしては麻酔が効いているので大したことはない。他に手術中に困ったこととしては、目が押されたりするのだがそうすと目線が一時的に向けと言われている方向からずれてしまうので、同じ方向を向くよう努めるのが意外と大変。

終わってみればただの記憶だが、恐怖心はけっこうある、虫歯治療よりは少なくとも大きい。意識がある状態で自分の目にメスが入るというのはどう考えても快適なことではないのだ。鈍い痛みが走り始めてからは特に、こんなの聞いてなかったし、もっとすぐ終わると思ってたし、いつまで続くかもよくわかんないしで疲れてきてもう辞めてほしいな…と心の中では思っていた。あとは、治療を決断したときはあくまで作用と副作用にだけ考えて術のことは一切完治しなかったのだが、なんかこんなとこ切って変な後遺症残ったら相当しんどいな…ということもつい考え出してしまう。これについては術前にもっと聞いておけという話ではある。ただ聞くと余計に恐怖心増すだろうなと思ってあえて訊かなかったのだが。
とまあ不快な感情はあったが、特にこちらにできることはないので、手術中はなるべく呼吸にだけ集中することにした。

右目終わり。まぶたを固定するテープ剥がす方が痛い。手術的には一旦終了した扱いらしく、主治医「終わります」各位「ありがとうございます」の掛け合いがあった(将棋かよ)。
5, 6分して左目の手術が始まる。右目と同様なのだが、対称ではなかったような気がする。右目は目頭側、左目は目尻側を切ったように思えたので。どっちでもいいのかな?

術後

左目は終了間際に主治医がため息をついたように聞こえたのでちょっと心配になったが、まあそんなことより疲労感と終わったときの「お疲れさまでした」を聞いた開放感で割とどうでもよかった。朝ごはんは軽くしか取っておらず、昼は食えなかったので、腹ペコでなにか考える気にもなれなかった。ひとまず目を開いて失明していないことに安堵し、保護用眼鏡をかけ、部屋から壁に手をつたいながら出る。最低限必要なときに目は開くが、まだ異物感というか角膜を切った感じがあるので、あまりまばたきはしたくなく、必要なときだけ開く感じ。
終わると、手術室前の椅子で2時間安静にするよう言われる。2時間も?おなか空いたのに?暇すぎると思ったが、まあしょうがなない。基本目は閉じるよう言われたので、入眠時の何もしない時間がひたすら続く感じ。手術のことを思い出し、後で文章にすべく一通り振り返って、なお時間があったので好きなゲームをBGMとともに脳内で再生したり(これは意外と難しい)、最近気になっている車のことを考えたりしていた。あと自分の次に手術を受けた中年の女性がが泣き終わってべそをかきながら手術室から出てきた。まあ泣く人はいるよね。

2時間経過後、経過観察。特に問題なし。すぐ終わる。手術のこと聞きたかったが、疲れてたしこれからも会うので後回し。
一駅先のホテルまで歩く。スマホの電池が切れていてうーん当てられるかなと思ったが、記憶の地図を頼りにすんなり見つかった。まだ視力はだいぶ悪く、夜でライトが多いのもありぼやけてちらつく感じ。若干貧血感があったので、コンビニで肉中心の食べ物を買って、食べて、目薬点して、薬飲んで、2時間ぐらい音楽聞いた(もっと聞いてようかと思ったがヘッドホンの電池が切れ、PCに優先で繋げば聞けるのだがPC出す元気もなかったのでやめ)。ふと興味が湧きどうなってんのかな?と思って目を覗いてみる。切った側特に左目はこの世の終わりみたいな充血をしている。別にぐちゃぐちゃになったりはしていないが、相当に気味は悪い。せっかく東京来たし友達と飯でもいこうとのんきに考えていたので、やめといてよかったと思う。 眼帯をテープで顔に付けてベッドに入る。
早めに休んだほうがいいかなと思ってベッドに入ったものの全然寝付けない。まあこんな日はそうだよな、と思いつつ、とりあえずじっとしてることにする。目覚ましで9時半に目覚める。とりあえず失明はしていない(それはそう)。視力も幾分よくなっているし、じんわりした痛みやまばたきへの恐怖みたいなのもほとんど消えている。左目の充血はあまりよくなっていない。11時に病院へ行き、予後の確認。角膜に傷が残っており、追加の目薬を渡される。ただ概ね順調らしい。今の所1m以内より3, 4mのもののほうが見やすい。ディスプレイはあまり読みやすくない。

4日後。家に戻って、パソコン作業開始。映像鑑賞には困らない感じだったが、文字がとにかく読みづらい。今までの明るさとサイズだとダークモードにしていたのもありソースコードが特に判読しづらい。まあ一字一句読めてなくとも変数名の区別ができればいいので、どうにかなるといえばなる。かなり頻繁に目が疲れるので、30分に一度ほどの頻度でしばらく目を閉じたり遠くを見たりする。ある程度連続して目を使うと耳鳴りとこめかみ付近の筋肉の露骨な緊張を感じるので、あまり長い時間集中できる感じではない。遠くの景色は明らかに鮮やかになっており、それ自体はいいことだと思うけれど、やはり今までと同じ視力というのは無理がないですかね?

目が駄目なら使うは耳かなということで、ピアノを引いたり音感トレーニングをしたりする(~1週間ほど)。これはこれで面白い。
1週間後また予後の確認。とにかく目が疲れるし見づらいと文句?を伝える。うーん慣れるものなので…とのこと。一応ビタミンB製剤をもらう。これでようやく保護メガネと眼帯をしなくてよくなるし、風呂にも入れるように。うれし〜。不快感のうちこめかみがじんわり緊張するのは保護メガネのせいかなとも思っていたが、外しても同じだった(トホホ)

およそ2週間。一応、ディスプレイの文字にもピントが合うことが多くなったが、片目ずつ試してみると右目だけピントがあっており、左目はもう少し遠くに焦点があるようだった。利き目は左目なのでこれは困る………。右目を隠して、左目を手前に置いた指にピントを合わせると後ろのディスプレイのピントも合ってくるような感じで、なぜか?自律的に合わせてくれない。
試しに+1.0の老眼鏡を買ってみた。こちらのほうが明らかにディスプレイは見やすい。まあでもこれに慣れると裸眼に一生慣れないなと思い使わないことにする。

家にいてもやることが限られるので、休みの日は外に出ることに。車の運転や山登りとかでも目は疲れるには疲れるのだが、やはり本やディスプレイを見たときのようなムカムカ感はあまり感じない。

3週間。とりあえず、両目を開ければピントが合わないことはなくなった。疲れも軽減はされてきたが、意識しないのは難しい程度。右目の充血は完全に消えたが、左目はまだはっきりと残っている。まあこれは人と会わなければなんともない(まあ人とは会っているが、邪気眼っぽくてややかっこいいと思える程度のほどよいグロテスクさになり、話の種にもなる)。

4週間。もう一度検診。目の疲れと、左右で視力が明らかに違うように思えることを改めて訴えるも、視力は同じだし、慣れるまではもう少し時間がかかりますと言われたが、さすがにこれ以上待てないので、この上にメガネ(つまり老眼鏡)を掛けるのはどうですかねと尋ねる。目に異常はない、慣れの問題なのでその必要はないと言われるも、実際今生活に支障が出ており老眼鏡を掛けたほうが見え方は明らかに楽ですと伝えると、まあそれなら任せます(しぶしぶ)という感じだった。利き目かどうかで見え方は違うので、視力は一緒ですとのことだったけど、さすがに左が遠く、右が近くが見やすいのでほんまか?と思う。まあ別の所で診断してもらえば分かるしなと思いこれ以上追及しない。

この後割とすぐ近くの病院に行き視力を測りメガネを作るかどうか相談。かなり遠くに合わせてあるので近くを見るのは慣れが必要だが、慣れることはたぶん可能で、あまりに大変なら作ってもいいかもしれません、ぐらいの回答だった。
大変と思っていたので、メガネ用の診断書(処方箋?)を出してもらう。45-90cm辺りが見やすいようにしてもらったが、遠くも生活の上では十分見えるぐらい。たぶん視力0.7ぐらいは出てると思う。
眼鏡屋にフレームと診断書を提出し、1週間弱で完成。非常に見やすい!以来家では常に着用することに。 逆に外すとディスプレイはさらに見づらくなってしまった…。25歳にして老眼鏡のお世話になる人間の完成です。
とはいえ、メガネを掛けて前と同じ見え方なら損はしていないし、屋内では特に掛けたくないと思うことはないので、まあこういう生活もありかなと。 外せば景色は綺麗に見えるし。
裸眼で仕事ができるよう視力を決めていたとすると、今ほどは景色も鮮やかに見えなかったかもしれない。まあそれでも全場面に対応できる視力にしてくれた方が良かったが…。

感想

今まで脳と神経以外の部分は意識と外界を接続するためのインターフェースとしか思っていなくて、腕とかも便利になるなら取り外しても全然いいなと思っていたが、今では認識が変わり、体は存在を構成するものだし、必要に駆られる前から創造的な手術で人体をうかつに変更したりすることに若干違和感を抱くようになった。